第11回 レモンの香りがふわっと広がる「長ねぎの蒸しマリネ」

生で使うとピリッと辛く、じっくり火を通せば、とろりと甘くなる長ねぎ。鍋物、炒め物、薬味にといろいろな調理法が楽しめる野菜なので、わが家の食卓でも大活躍です。
1年中出回る長ねぎですが、もっともおいしくなるのが冬場ではないでしょうか。長ねぎは寒さに当たると細胞内の水分が凍らないように、自らの力で糖度を上げます。だから冬場の長ねぎは甘さが増しておいしくなるのです。
そんな長ねぎのおいしさを存分に堪能できるのが今回ご紹介するこの蒸しマリネです。
長ねぎの甘さとレモンの酸味、とろっとした口当たりは、ワインのおともにもぴったりです。さっぱりとしているので、肉料理や魚料理との相性も抜群。作り方もシンプルで、調理のアレンジが利きますから、たっぷり仕込んでおくと重宝します。
わたしは、酸っぱめの味付けが好きなので、レモン汁をたっぷり使いますが、酸味が苦手な方は少なめで作って、足りなければあとから足すようにしてください。また、レモンの皮は、入れすぎると苦味が強くなるので10円玉1枚分ぐらいの大きさを目安にしてお試しください。

さて、長ねぎの蒸しマリネを使った簡単でおいしいアレンジレシピをご紹介します。
ひとつ目は、「鱈のソテー 長ねぎのマッシュポテト添え」。
今が旬の鱈にカレー粉で下味をつけてソテーしたものに、長ねぎの蒸しマリネを混ぜ込んだ酸味のあるマッシュポテトを添えました。
作り方は、生鱈に白ワイン少々と塩ひとつまみを振りかけて20分ほど置いて下味をつけます。水気をペーパータオルでふき取ってカレー粉とこしょう少々をふり、小麦粉をはたいて、オリーブオイルをひいたフライパンで表面をカリッと焼きあげます。
じゃがいもを皮付きのまま茹で、茹であがったら皮をむいてボウルに入れます。熱いうちにバター適量を加えてフォークでつぶしながら混ぜ合わせます。そこに長ねぎの蒸しマリネの汁気を軽く切ったものと、粒マスタードを加えてフォークで滑らかになるまで混ぜ合わせます。味が足りなければ、塩で味を調えます。長ねぎの甘さとじゃがいもの風味が生きるようにマッシュポテトを薄味に仕上げるのがおいしさのポイントです。
お皿にマッシュポテトを敷き、鱈のソテーをのせてこしょうを軽くふれば完成です。

二つ目は、「長ねぎとベーコンのスパゲッティ」。
長ねぎの蒸しマリネの軽い酸味とベーコンの旨みが生きたシンプルなスパゲッティです。
塩を加えたたっぷりのお湯でスパゲッティを茹でます。
フライパンにオリーブオイルを入れてざく切りにしたベーコンを炒め、カリッとしてきたら長ねぎの蒸しマリネとマリネ液(つけ汁)適量を入れて煮立てます。スパゲッティを規定の茹で時間より2分ほど早く切り上げてフライパンに入れ、ゆで汁も加えて強火でさっと和えるようになじませてこしょうをふれば完成です。
長ねぎの青い部分を加えれば、彩りと味のアクセントが加わります。味付けは、マリネ液とゆで汁の塩分で味が調うと思いますが、足りなければ塩で調整してください。
この他にも、グラタンや煮込み料理にも使えますので、太くてみずみずしい長ねぎが手に入ったらぜひお試しください。

「長ねぎの蒸しマリネ」
<材料>(作りやすい分量)
長ねぎ 3本
にんにく 1かけ
水1カップ
白ワイン 大さじ3
レモン汁 小さじ2〜大さじ1
レモンの皮 少々
塩 小さじ1
オリーブオイル 大さじ2
黒胡椒(粒)小さじ1/2
ローリエ 1枚
<材料>(作りやすい分量)
長ねぎ 3本
にんにく 1かけ
水1カップ
白ワイン 大さじ3
レモン汁 小さじ2〜大さじ1
レモンの皮 少々
塩 小さじ1
オリーブオイル 大さじ2
黒胡椒(粒)小さじ1/2
ローリエ 1枚
1 長ねぎは5cmぐらいの長さのぶつ切りにする。味が染み込みやすくなるように両面に浅く包丁目を入れておく(写真1)。にんにくはつぶす。レモンの皮は内側の白いワタを包丁で削いで取り除き、せん切りにする。
2 鍋にすべての材料を入れて火にかける(写真2)。ひと煮立ちしたらふたをのせ、少しずらして隙間を開けておく。弱火で10分ほど蒸し煮にしてから、火を止めてそのまま冷ます(写真3)。
3 あら熱が取れたら清潔なびんに入れて冷蔵庫で保存する。

<ポイント>
◎冷蔵庫で1週間ほど保存できます。
著者プロフィール
こてらみや(こてらみや)
フードコーディネーター、料理家。
京都・祇園生まれということもあり、子どもの頃より京料理やおばんざいに接して育つ。また、実家が西洋骨董店を営んでいるため、自然と食器やグラスにも興味を持つ。
上京後、フードコーディネーターのアシスタントを経て独立。以来、料理制作、スタイリング等、食の総合的なコーディネーターとして活躍。
とくにスパイスや香味野菜など、「香り」をいかした料理に定評がある。
ライフワークは「季節の仕込みもの作り」で、味噌や漬物等の醗酵食品、旬の食材を使ったジャム、シロップ、佃煮などヒマを見つけてはびん詰めにして楽しんでいる。
好きな言葉は、帝国ホテルの総料理長だった故村上信夫氏の「世界一おいしい料理は、円満な夫婦の家庭料理」。
こてらみやのブログ〈オサルノビタミン〉
株式会社東京図鑑 ホームページ
フードコーディネーター、料理家。
京都・祇園生まれということもあり、子どもの頃より京料理やおばんざいに接して育つ。また、実家が西洋骨董店を営んでいるため、自然と食器やグラスにも興味を持つ。
上京後、フードコーディネーターのアシスタントを経て独立。以来、料理制作、スタイリング等、食の総合的なコーディネーターとして活躍。
とくにスパイスや香味野菜など、「香り」をいかした料理に定評がある。
ライフワークは「季節の仕込みもの作り」で、味噌や漬物等の醗酵食品、旬の食材を使ったジャム、シロップ、佃煮などヒマを見つけてはびん詰めにして楽しんでいる。
好きな言葉は、帝国ホテルの総料理長だった故村上信夫氏の「世界一おいしい料理は、円満な夫婦の家庭料理」。
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