第6回 『秋の味覚「さんま」の楽しみ方』
朝夕が涼しくなり、すっかり秋の気候になりました。
スーパーマーケットをのぞいてみても、きのこや梨、さんまといった秋の食材がずらりと並び、食品売り場にも本格的な秋がやってきたようです。
そこで、今月は秋の食材の代表格である「さんま」を使ったびん詰めをご紹介します。
焼き網の上でもくもくと煙を立ち上らせ、じゅーっと脂を滴らせているさんまを見ただけで、のどがごっくんとなるのは私だけではないでしょう。
今年の出はじめは猛暑の影響で水揚げが少なく、かなりの高値をつけていましたが、つい先日1尾100円のさんまを発見! うれしさのあまり8尾も買ってしまいました。その日の晩ごはんに2尾を塩焼きでいただき、残り6尾を日持ちするようにコンフィにしておきました。
コンフィとは、下ごしらえした食材を油脂に浸けて、低温でじっくりと加熱する調理法のことで、生のままだと日持ちしないさんまも、コンフィにして冷蔵庫で保存すれば2~3週間は持ちます。その上、中骨まで食べられるほど柔らかくなるので、骨を取る煩わしさがなくなり、カルシウム補給もできるのですから、いうことなし! です。さんまは栄養価の高いお魚ですし、小さなお子さんのいる家庭にもおすすめしたい1品です。
調理をする際には、さんまは丸ごとだと大きすぎて家庭サイズの鍋に入りません。それに適当な大きさに切っておいたほうが、食べたい分だけ使えて便利なので、筒切りにしてびん詰めにしています。
このレシピでは、風味付けもハーブを多用せずにごくシンプルに仕上げています。アレンジ例としてご紹介する「さんまと実山椒の炊き込みごはん」のように、表面をフライパンかグリルでカリッと焼くと余分な油が取れ、和食にもぴったり! また、大根おろしとすだちを添えてもおいしいですよ。パスタやサラダなどと合わせて、フレッシュハーブやスパイスを利かせると、ワインに合うちょっとお洒落なひと皿に変身します。
お買い得のさんまを見つけたら、たっぷり仕込んで秋の味覚を堪能してみてください。
<作り方>
1 さんまは頭と尾を切り落とし、3等分のぶつ切りにする。長ねぎと玉ねぎは薄切りにする。
2 内臓を抜き、腹の内側の中骨に付いた血や内臓を菜箸などでこそげ落し、流水でさっと洗う。
3 2の水気を切り、<A>をまぶしつけてバットに並べ、長ねぎと玉ねぎをのせてラップで覆い、冷蔵庫でひと晩ねかせる。
4 3のバットに溜まった水分(写真①)と野菜を取り除いてさんまの表面に付いた水分をしっかりふき取る。腹の中の水気はキッチンペーパーの上に立てて置いておくとよく切れる(写真②)。適量のサラダ油を注いだ鍋になるべく重ならないように並べ入れ、叩きつぶしたにんにくとローリエ、黒粒胡椒を入れる。さんまが完全に浸かるぐらいまで油を注ぐ。
5 ガスコンロのごく弱火かオーブンに入れて100度を越えないぐらいの温度(80度がベスト)を保って2~3時間加熱する(写真③)。油の表面に白いアクのようなものが浮いてくるので、すくって取り除く。
6 完全に冷めてから清潔なびんに詰めて冷蔵庫で保存する。



<ポイント>
◎このレシピでは、和食にも合うように、香りの強いハーブを使っていませんが、お好みでタイムやオレガノ、ローズマリーを使ってオリーブオイルで作ってもおいしいですよ。
◎ガスコンロで加熱する場合、温度が上がりすぎるようであれば、焼き網などをかませて調整してください。
<作り方>
1 米は研いでザルにあげて水を切る。
2 土鍋に米と<A>を入れてさっと混ぜ、30分ほどおく。
3 フライパンを中火で熱し、さんまのコンフィの皮目に焼き色をつける。時おり、フライパンを傾けてキッチンペーパーに油を吸わせながら焼くと、余分な油が取れてカリッと香ばしく焼ける。焼き上がったさんまをキッチンペーパーの上にのせて油を切る。
4 2の鍋を強火にかけ、沸騰して湯気が勢いよくでてきたら弱火にして香ばしい香りがしてくるまで15~6分炊く。
5 4のご飯の上に3のさんまをのせて蓋をして10分蒸らす。
6 さんまをほぐしてよくかき混ぜて茶碗によそい、お好みで粉山椒をパラリとかけていただく。
<ポイント>
◎炊飯器で作る場合は、<A>の実山椒以外を合わせたものを炊飯器の目盛りに合わせて炊くといいでしょう。
◎実山椒がなければ、ささがきごぼうと炊き合わせてせん切りの生姜を散らしてもおいしいですよ。
スーパーマーケットをのぞいてみても、きのこや梨、さんまといった秋の食材がずらりと並び、食品売り場にも本格的な秋がやってきたようです。
そこで、今月は秋の食材の代表格である「さんま」を使ったびん詰めをご紹介します。
焼き網の上でもくもくと煙を立ち上らせ、じゅーっと脂を滴らせているさんまを見ただけで、のどがごっくんとなるのは私だけではないでしょう。
今年の出はじめは猛暑の影響で水揚げが少なく、かなりの高値をつけていましたが、つい先日1尾100円のさんまを発見! うれしさのあまり8尾も買ってしまいました。その日の晩ごはんに2尾を塩焼きでいただき、残り6尾を日持ちするようにコンフィにしておきました。
コンフィとは、下ごしらえした食材を油脂に浸けて、低温でじっくりと加熱する調理法のことで、生のままだと日持ちしないさんまも、コンフィにして冷蔵庫で保存すれば2~3週間は持ちます。その上、中骨まで食べられるほど柔らかくなるので、骨を取る煩わしさがなくなり、カルシウム補給もできるのですから、いうことなし! です。さんまは栄養価の高いお魚ですし、小さなお子さんのいる家庭にもおすすめしたい1品です。
調理をする際には、さんまは丸ごとだと大きすぎて家庭サイズの鍋に入りません。それに適当な大きさに切っておいたほうが、食べたい分だけ使えて便利なので、筒切りにしてびん詰めにしています。
このレシピでは、風味付けもハーブを多用せずにごくシンプルに仕上げています。アレンジ例としてご紹介する「さんまと実山椒の炊き込みごはん」のように、表面をフライパンかグリルでカリッと焼くと余分な油が取れ、和食にもぴったり! また、大根おろしとすだちを添えてもおいしいですよ。パスタやサラダなどと合わせて、フレッシュハーブやスパイスを利かせると、ワインに合うちょっとお洒落なひと皿に変身します。
お買い得のさんまを見つけたら、たっぷり仕込んで秋の味覚を堪能してみてください。

「さんまのコンフィ」
<材料>(さんま6尾分)
さんま 6尾
長ねぎの青い部分 1本分
玉ねぎ 1/4個
サラダ油 適量
<A>
粗塩 頭と尾、内臓を除いたさんまの重量の2パーセント
日本酒 大さじ2
<B>
にんにく 2かけ
ローリエ 1枚
黒粒胡椒 15粒
<材料>(さんま6尾分)
さんま 6尾
長ねぎの青い部分 1本分
玉ねぎ 1/4個
サラダ油 適量
<A>
粗塩 頭と尾、内臓を除いたさんまの重量の2パーセント
日本酒 大さじ2
<B>
にんにく 2かけ
ローリエ 1枚
黒粒胡椒 15粒
1 さんまは頭と尾を切り落とし、3等分のぶつ切りにする。長ねぎと玉ねぎは薄切りにする。
2 内臓を抜き、腹の内側の中骨に付いた血や内臓を菜箸などでこそげ落し、流水でさっと洗う。
3 2の水気を切り、<A>をまぶしつけてバットに並べ、長ねぎと玉ねぎをのせてラップで覆い、冷蔵庫でひと晩ねかせる。
4 3のバットに溜まった水分(写真①)と野菜を取り除いてさんまの表面に付いた水分をしっかりふき取る。腹の中の水気はキッチンペーパーの上に立てて置いておくとよく切れる(写真②)。適量のサラダ油を注いだ鍋になるべく重ならないように並べ入れ、叩きつぶしたにんにくとローリエ、黒粒胡椒を入れる。さんまが完全に浸かるぐらいまで油を注ぐ。
5 ガスコンロのごく弱火かオーブンに入れて100度を越えないぐらいの温度(80度がベスト)を保って2~3時間加熱する(写真③)。油の表面に白いアクのようなものが浮いてくるので、すくって取り除く。
6 完全に冷めてから清潔なびんに詰めて冷蔵庫で保存する。



<ポイント>
◎このレシピでは、和食にも合うように、香りの強いハーブを使っていませんが、お好みでタイムやオレガノ、ローズマリーを使ってオリーブオイルで作ってもおいしいですよ。
◎ガスコンロで加熱する場合、温度が上がりすぎるようであれば、焼き網などをかませて調整してください。

「さんまのコンフィと
実山椒の炊き込みごはん」
<材料>(4人分)
さんまのコンフィ 5切れ
米 2合
粉山椒(お好みで)
<A>
水 2合(360cc)
日本酒 大さじ2
薄口醤油 大さじ1
塩 小さじ1
実山椒*
* 実山椒は、塩漬けにしたもの(『魔法のびん詰め』p30参照)を塩抜きして使っています。
実山椒の炊き込みごはん」
<材料>(4人分)
さんまのコンフィ 5切れ
米 2合
粉山椒(お好みで)
<A>
水 2合(360cc)
日本酒 大さじ2
薄口醤油 大さじ1
塩 小さじ1
実山椒*
* 実山椒は、塩漬けにしたもの(『魔法のびん詰め』p30参照)を塩抜きして使っています。
1 米は研いでザルにあげて水を切る。
2 土鍋に米と<A>を入れてさっと混ぜ、30分ほどおく。
3 フライパンを中火で熱し、さんまのコンフィの皮目に焼き色をつける。時おり、フライパンを傾けてキッチンペーパーに油を吸わせながら焼くと、余分な油が取れてカリッと香ばしく焼ける。焼き上がったさんまをキッチンペーパーの上にのせて油を切る。
4 2の鍋を強火にかけ、沸騰して湯気が勢いよくでてきたら弱火にして香ばしい香りがしてくるまで15~6分炊く。
5 4のご飯の上に3のさんまをのせて蓋をして10分蒸らす。
6 さんまをほぐしてよくかき混ぜて茶碗によそい、お好みで粉山椒をパラリとかけていただく。
<ポイント>
◎炊飯器で作る場合は、<A>の実山椒以外を合わせたものを炊飯器の目盛りに合わせて炊くといいでしょう。
◎実山椒がなければ、ささがきごぼうと炊き合わせてせん切りの生姜を散らしてもおいしいですよ。
著者プロフィール
こてらみや(こてらみや)
フードコーディネーター、料理家。
京都・祇園生まれということもあり、子どもの頃より京料理やおばんざいに接して育つ。また、実家が西洋骨董店を営んでいるため、自然と食器やグラスにも興味を持つ。
上京後、フードコーディネーターのアシスタントを経て独立。以来、料理制作、スタイリング等、食の総合的なコーディネーターとして活躍。
とくにスパイスや香味野菜など、「香り」をいかした料理に定評がある。
ライフワークは「季節の仕込みもの作り」で、味噌や漬物等の醗酵食品、旬の食材を使ったジャム、シロップ、佃煮などヒマを見つけてはびん詰めにして楽しんでいる。
好きな言葉は、帝国ホテルの総料理長だった故村上信夫氏の「世界一おいしい料理は、円満な夫婦の家庭料理」。
こてらみやのブログ〈オサルノビタミン〉
株式会社東京図鑑 ホームページ
フードコーディネーター、料理家。
京都・祇園生まれということもあり、子どもの頃より京料理やおばんざいに接して育つ。また、実家が西洋骨董店を営んでいるため、自然と食器やグラスにも興味を持つ。
上京後、フードコーディネーターのアシスタントを経て独立。以来、料理制作、スタイリング等、食の総合的なコーディネーターとして活躍。
とくにスパイスや香味野菜など、「香り」をいかした料理に定評がある。
ライフワークは「季節の仕込みもの作り」で、味噌や漬物等の醗酵食品、旬の食材を使ったジャム、シロップ、佃煮などヒマを見つけてはびん詰めにして楽しんでいる。
好きな言葉は、帝国ホテルの総料理長だった故村上信夫氏の「世界一おいしい料理は、円満な夫婦の家庭料理」。
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株式会社東京図鑑 ホームページ
バックナンバー
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