第3回 『失敗は成功のもと!から生まれた「プラムソース」』

6月の中ごろから出回りはじめるプラムは、桃と同じバラ科の植物で、酸味が強いことから、「酸っぱい桃=酸桃(すもも)」という和名がついたといわれています(漢字一文字で「李」とも書きます)。
プラムにはいろいろな種類がありますが、真っ赤な果皮で果肉が黄色い「大石早生」(上の写真)、果皮はくすんだ赤緑色だけど果肉が真っ赤な「ソルダム」(下の写真の左側)などがよく知られた品種でしょうか? どちらも甘酸っぱくてジューシー。そして生のままでも、調理してもおいしくいただけるので、わが家でも人気のフルーツのひとつです。
くだもの売り場で真っ赤なプラムを見かけると、あの甘酸っぱさを脳が記憶しているのか、のどの奥がキュンとして唾がごっくん。ついつい、つられて買ってきてしまいます。
ある日のこと、お買い得のプラムを買ってきて、コンポートにしようとお鍋でコトコトと煮始めました。ところが、他の用事に気を取られて目を離している間に、コンポートになるはずだったプラムは、煮え過ぎてドロドロに……。時すでに遅しです。
でも、煮崩れてペースト状になったものをペロリと舐めてみるとおいしいではありませんか。さっそくザルで裏ごしてプラムソースに作り直してみました。
するとどうでしょう。まさに「失敗は成功のもと」という言葉がぴったりのおいしい味となったのです。
これ以来、プラムはソースにするのがわが家の定番となりました。
飲み物やデザートだけではなくて、おかずにも使えるというのがこのプラムソースのいいところ。しかも煮込む時間は10分程度です。
「すもももももももものうち、もももすももももものうち」なんて、早口言葉をつぶやいているうちにできちゃいます!(笑)
ぜひ、お試しくださいませ。

《材料》
プラム 600g
グラニュー糖 250g
レモン汁 大さじ1~3
プラム 600g
グラニュー糖 250g
レモン汁 大さじ1~3
1 プラムは洗ってから水気を取る。アボカドを切る要領で、プラムの筋に沿ってぐるりと包丁を入れ、両手でひねって2つに切り離す。
2 鍋に1のプラムとグラニュー糖、レモン汁を入れて30分ほど置く。
3 2を火にかけて沸騰してきたら弱火にしてアクを取り、10分ほど煮て果肉がとろりと煮崩れてきたら火を止める。
5 4をボウルにのせたザルにあけ、へらで裏ごしする。あら熱が取れたら、清潔なびんに移し替えて冷蔵庫で保存する。
<ポイント>
プラムは、酸味の強い「大石早生」がおすすめです。お好みにもよりますが、酸味が強いほうが味に締まりがでるので、熟しすぎていない身の締まったものを選ぶといいでしょう。
レモン汁は、煮込み始めの時に大さじ1を加え、煮崩れてから味見をして、酸味が弱いようであれば、さらに大さじ2~3を足してください。
ここで、アレンジレシピを紹介します。
酸味のあるプラムソースは、炭酸水で割って飲むのもおいしいのですが、水切りしたヨーグルトにたっぷりかけると、ちょっと贅沢なデザートにも変身します。

<水切りヨーグルトのつくり方>
ボウルにのせたザルにガーゼやキッチンペーパーを敷き、ヨーグルトを入れてひと晩置いておくと、クリームチーズのように濃厚なヨーグルトになります。
また、甘酢のかわりにプラムソースと醤油、日本酒を合わせたタレを絡めて酢豚風にしてもおいしいのです。時折ふわっと香るプラムの香りもごちそうのうち。酸っぱいものが苦手な人やお子様でも食べられる柔らかな酸味です。

プラムソース大さじ3:醤油大さじ1強:日本酒大さじ1と1/2の割合で合わせて使います(約2人分の酢豚を作る分量です)。
著者プロフィール
こてらみや(こてらみや)
フードコーディネーター、料理家。
京都・祇園生まれということもあり、子どもの頃より京料理やおばんざいに接して育つ。また、実家が西洋骨董店を営んでいるため、自然と食器やグラスにも興味を持つ。
上京後、フードコーディネーターのアシスタントを経て独立。以来、料理制作、スタイリング等、食の総合的なコーディネーターとして活躍。
とくにスパイスや香味野菜など、「香り」をいかした料理に定評がある。
ライフワークは「季節の仕込みもの作り」で、味噌や漬物等の醗酵食品、旬の食材を使ったジャム、シロップ、佃煮などヒマを見つけてはびん詰めにして楽しんでいる。
好きな言葉は、帝国ホテルの総料理長だった故村上信夫氏の「世界一おいしい料理は、円満な夫婦の家庭料理」。
こてらみやのブログ〈オサルノビタミン〉
株式会社東京図鑑 ホームページ
フードコーディネーター、料理家。
京都・祇園生まれということもあり、子どもの頃より京料理やおばんざいに接して育つ。また、実家が西洋骨董店を営んでいるため、自然と食器やグラスにも興味を持つ。
上京後、フードコーディネーターのアシスタントを経て独立。以来、料理制作、スタイリング等、食の総合的なコーディネーターとして活躍。
とくにスパイスや香味野菜など、「香り」をいかした料理に定評がある。
ライフワークは「季節の仕込みもの作り」で、味噌や漬物等の醗酵食品、旬の食材を使ったジャム、シロップ、佃煮などヒマを見つけてはびん詰めにして楽しんでいる。
好きな言葉は、帝国ホテルの総料理長だった故村上信夫氏の「世界一おいしい料理は、円満な夫婦の家庭料理」。
こてらみやのブログ〈オサルノビタミン〉
株式会社東京図鑑 ホームページ
バックナンバー
- 2012年04月27日 第1回 『主役を引き立てる名脇役――わさびのチカラ』
- 2012年05月22日 第2回 『「エシャレット」の正体は、早採りの「らっきょう」!?』
- 2012年06月20日 第3回 『失敗は成功のもと!から生まれた「プラムソース」』
- 2012年07月20日 第4回 『夏の暑さも吹き飛ばす「みょうがの甘酢漬け」』
- 2012年08月21日 第5回 『ムルキムチは、わが家の「食べる薬」』
- 2012年10月02日 第6回 『秋の味覚「さんま」の楽しみ方』
- 2012年12月26日 第7回 『食材ストックの整理を兼ねた「ドライフルーツのスパイシーコンポート」作り』
- 2013年02月18日 第8回 『冬の名残を楽しむ「ほうれん草とじゃがいものスパイシーパテ」』
- 2013年04月23日 第9回 やめられない止まらない~の「刻みニラキムチ」
- 2013年07月25日 第10回 夏が盛りのバジルと青唐辛子を使った「グリーンパスタペースト」
- 2014年01月22日 第11回 レモンの香りがふわっと広がる「長ねぎの蒸しマリネ」